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2015年 02月 10日

ゴマフボクトウ

ゴマフボクトウ_c0286530_8114516.jpg
ヒサカキ Eurya japonica var. japonica の根元に溜まった、ゴマフボクトウ Zeuzera multistrigata leuconota の糞
2015年1月5日、埼玉県さいたま市見沼区


地元のフィールドで、昔から気になっていたことがありました。

それは、ヒサカキの根元でしばしば見られる糞が、誰のものかということ。

これは長い間分かりませんでしたが、いつの間にか「ボクトウガ類の仕業らしい」という情報が、頭の中に入っていました。

今回も地元フィールドのあちこちで目にしたので、これを機に調べてみました。

ゴマフボクトウ_c0286530_8114996.jpg
穿入孔
2015年1月5日、埼玉県さいたま市見沼区


日本産ボクトウガ科は、現在7種が確認されています。

このうち、ヒサカキが属するツバキ科を寄主としているものは、コーヒーゴマフボクトウとゴマフボクトウの2種。

コーヒーゴマフボクトウは主に鹿児島県の奄美大島以南に分布しているため、埼玉で見られるとしたらゴマフボクトウということになります。

そして、「ゴマフボクトウ ヒサカキ」で検索すると、「本邦産ポプラおよびヤナギ属植物の害虫」という論文が引っ掛かり、読むとゴマフボクトウの加害植物の中にヒサカキが記録されていました。

このことから、ヒサカキの根元で見られる糞はゴマフボクトウのものであると言えそうですが、気になることが1つ。

ゴマフボクトウ類2種が属する Zeuzera 属にはもう1種、国内では北海道から西表島まで広く分布するクロシオゴマフボクトウという種がいます。

このクロシオゴマフボクトウ、ネット上に情報が少なく、調べても寄主が見つけられなかったので、現在もまだ明らかになっていないのかもしれません。

しかし、他の2種がツバキ科を寄主の一つとしていることを考えると、クロシオゴマフボクトウも同様の可能性があると思われます。

なので、クロシオゴマフボクトウの寄主が判明しない限りは、写真のような状態を全てゴマフボクトウの仕業とは言えないのではないかと思いましたが、1998年に刊行された「埼玉県昆虫誌 I (第2分冊) 鱗翅目」にクロシオゴマフボクトウは記録されておらず、その後も発見されていないようなので、埼玉に限ればゴマフボクトウの仕業としても良いのかな・・・と思います。

ゴマフボクトウ_c0286530_8115370.jpg
2015年1月5日、埼玉県さいたま市見沼区


ちなみに、ゴマフボクトウもクロシオゴマフボクトウも北海道に分布しているということですが、こちらで糞を見たことはまだありません。

いつか、見つけてみたいものです。

by arisuabu | 2015-02-10 18:40 | 鱗翅目 | Comments(2)
Commented by izumi at 2015-02-11 15:24 x
こんな糞はこの近辺では見たことありません。
道南に生息しているのでしょうか?
気になりますね・・・・。
しかし糞の量からすると随分穿孔しているのですねぇ・・・カミキリ並じゃないですか?
幼虫の姿を見てみたいものです。
Commented by arisuabu at 2015-02-11 21:56
izumi 様
結構目立つものなので、あれば気付くと思うのですが、izumiさんも見たことがありませんか・・・。
よくコメントを下さるだんちょうさんは小樽でも写真を撮られているので、少なくともそこまでは分布していると思われます。
もしどこかで見つけたら、ご一報下さい。
糞の量は凄いですよね。
内部はどれ程食べられているのか気になります。
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